2020年 年頭所感
一昨年末の金融庁より発表された「仮想通貨交換業等に関する研究会報告」をうけ、昨年6月に現行の資金決済法の改正案と仮想通貨デリバティブやSTO等に関する金融商品取引法の改正が公布されました。また昨年7月には再びの国内仮想通貨交換業からの流出事件があったことは甚だ残念な想いでおります。
一方で一昨年10月24日に資金決済法87条による認定を受けた当協会は、業界における多岐に亘る課題の解決に向けた自主規制規則を施行し、検査・モニタリング・指導を進めてまいりました。
仮想通貨の保管体制につきましてもホットウォレット上に保持する顧客仮想通貨の限度率を定め、また同等の自己資金を保有させるようにするなど自主規制の取組みを推進し、また知見の共有を図ることにより業界全体の安全性を高めるなどの取組みを進めてきたことにより、被害の最小化や事案発覚後の対応など従来に比べ格段に的確かつ迅速な対応が行えたことは、協会として一定の成果であると考えております。
昨年9月には当協会より新規仮想通貨の販売に関する規則・ガイドラインを公表し、今後の国内で取り扱われる仮想通貨の拡充のスタートラインに立てたと思料いたします。業界における課題は引き続き山積しておりますが、一歩ずつ取組みを続けていくことにより、国内仮想通貨市場の利用者保護と業界の健全な発展を引き続き推進してまいります。
日本市場は一昨年初頭の事件より低迷が続いておりますが、昨年も世界を見ればブロックチェーン・仮想通貨の熱量は高まり続けており、今後の一層の発展を疑う余地はないと思料しております。
仮想通貨はその実用性を伴うものでなければならず、過剰な投機の対象であってはいけません。交換所は利用者が安心して財産を預けることのできる、公正な市場を運営する役割を担う必要があります。今後のデジタルイノベーションを支える不可欠な役割として社会実装が進み、安心と信頼を取り戻し仮想通貨が再び輝きを取り戻す1年になることを心より祈念致します。
一般社団法人 日本仮想通貨交換業協会 会長