ニュースNEWS

2023年 年頭所感

 2023年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 平素より当協会にご支援を賜り厚く御礼申し上げます。

 2022年の世界を振り返りますと、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発したエネルギー価格の上昇や地政学的緊張がもたらす供給面での混乱に加え、COVID-19パンデミック後の世界的な需要の急速な回復に伴うインフレが猛威を振るっております。また、国内に目を向けますと、国内外の金利差の拡大により、2022年の年初に115円台であった円相場が10月下旬には1990年8月以来となるおよそ32年ぶりの円安となる150円台を記録するなど、経済の在り方にも大きな影響と変化をもたらしています。

 そのような中、2022年の世界の暗号資産業界は、5月にアルゴリズム型のステーブルコインであるテラUSD の価格が急落し、11月にはFTXトレーディングが破綻するなどの影響もあり、暗号資産市場全体の時価総額が縮小するなど厳しい状況が続きました。一方で、我が国においては、20年の改正資金決済法において交換業者に顧客の預かり資産について原則コールドウォレットでの管理を義務付けたことに続き、マネーロンダリング及びテロ資金供与対策への対策としてFATF(金融活動作業部会)基準に対応したトラベルルールの導入に向けて、犯罪による収益の移転防止に関する法律の施行規則改正を予定するなど投資家保護の一層の強化が進められております。

 また、ステーブルコインについては発行者と仲介者を明確に分離し仲介業者に登録制を導入すること等が示され、今後取扱に向けた具体的な要件を定めたガイドラインが示される予定である他、令和5年度税制改正において、法人が自ら発行し継続して保有するトークンに係る期末時価評価課税を法人税の課税対象から除外する措置を講ずる旨の方針が示されるなど、関連するビジネスの発展を積極的にサポートする施策が進められております。

 当協会においては、自主規制業務として、会員における法令や自主規制規則の遵守状況のモニタリングや監査、指導等を行うことで引き続き業界の健全な発展と投資家保護の一層の推進に努めて参りました。先述のトラベルルールに関しては、法改正に先立ち協会の自主規制として「暗号資産関連交換業に関するマネーロンダリング及びテロ資金供与対策に関する規則」を制定するなど積極的に対応を進めて参りました。また、暗号資産審査においては昨年3月にグリーンリスト制度、12月にはCASC制度を導入することで審査の効率化を図るなど投資家の利便性と安全性の改善を推進すると共に、会員及び協会におけるITセキュリティの向上に務めた他、自民党のweb3プロジェクトチームとの意見交換を行うなど積極的に取り組んで参りました。

 2023年は、暗号資産業界にとり暗号資産の更なる有用性を示す上で大変重要な年になると考えております。引き続き高い緊張感と強い使命感を持って、業界の発展と暗号資産を通じた社会への更なる貢献に向けて様々な課題に積極的かつ迅速、柔軟に対応して参ります。

 皆様のご健康とご多幸をお祈りし、新年のご挨拶とさせていただきます。
 本年も引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

一般社団法人 日本暗号資産取引業協会 会長