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2024年 年頭所感

 2024年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 平素より当協会にご支援を賜り厚く御礼申し上げます。

 2023年を振り返ると暗号資産市場においてはCrypto Winterと評される時期ではありましたが、そのような中でも着実に雪解けに備え、または、自ら春を呼び込むための行動を実現していた取組みも多く見られた1年だったように思われます。

 世界全体を見渡しても、暗号資産に対する規制強化の必要性が提唱され、無登録事業者に対しては欧米諸国を中心に厳しい罰則が科されるようになりました。日本国内においても2023年6月に犯罪収益移転防止法が改正され、FATFトラベルルールに基づく運用が主要先進国で先駆けて施行されました。

 来年以降のFATF第5次審査を見据えて、今年3月までに金融庁マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドラインの「対応が求められる事項」に対する体制整備の期限となっており、暗号資産業界にも当業界用コンメンタールを作成し、会員企業におけるギャップ分析を実施頂き、差分を埋める対応を頂くことをお願いしております。また、外為法改正に基づく対応やトラベルルール対象法域の追加も予定されており、引き続き各種対応が求められることとなります。

 このような厳格なAML/CFT対応に取り組むことは、当業界の健全な成長・発展において極めて重要な意味を持つと考えております。

 当業界が主体的に厳格なAML/CFT対応を取ってきたことにより、暗号資産審査やIEO審査においては大きな改善が見られ、現時点においてはJVCEAの審査が完了して国内取扱可能となった暗号資産は100銘柄近くとなりました。IEOについても確実に実績が増える中で平均10億円近い資金調達が実現しており、「新しい金融」としての可能性が出てきています。

 また、令和6年度税制改正大綱には法人における暗号資産長期保有分に対する期末課税への対策が取られるなど税制面においても改善がみられることとなりました。

 昨年6月には資金決済法が改正され、法定通貨担保型ステーブルコインについて日本国内での発行及び流通が認められるようになりました。ステーブルコインと暗号資産は異なるものですが、ステーブルコインの普及により暗号資産市場がより活性化する可能性があります。

 現在、主要暗号資産のみで1日あたり暗号資産出来高はグローバル全体で10兆円程度となります。東京証券取引所の1日あたり平均出来高が3.8兆円のため、市場規模の大きさが確認できます。なお、2023年10月時点の国内取引量は現物7012億円、証拠金3743億円であり、合算しても1日350億円程度の取引量となります。この差を成長機会と捉え、今年も多くの方と協力しながら健全な暗号資産市場の発展、そして、暗号資産を通じた社会への更なる貢献に向けて引き続きの取組みを推進して参ります。

 皆様のご健康とご多幸をお祈りし、新年のご挨拶とさせていただきます。
 本年も引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

一般社団法人 日本暗号資産取引業協会 会長